ただ西野くんが好き。
話を聞いた後の私は泣き崩れた。
映画でもこんなショックになったことない。
話はこうであった。
私は泣き過ぎてあまり記憶がないので、颯Ver.でお送りします。
「俺は、3歳の時に両親が離婚して父親に引き取られた。それで10歳の時に再婚したんだ、俺と10歳しか違わない女と。それで弟を2人産んで親父と女は俺じゃなくて弟に愛情を注いだ、ご飯も作ってくれなかったし、弟だけ習い事させてたし、何よりもショックだったのは誕生日忘れられたこと、4年連続で。もう家族から捨てられたなと思った。虐められた時もなにもしてくれなかったし、奏がいなかったら俺は死んでたよ。
奏も同じもんで兄と比べられて、ずっと孤独を抱いて、中1の時に家を出て暫くは宏ちゃんの家に行ってたし、晴翔は晴翔で暴走族の家族という肩書きで蔑まれたり族に絡まれて反抗してた時は毎日殴られてた。まぁ今は族のメンバーが一新になっていい感じだけどな。宏ちゃんはずっと母親からDV受けてたし、父親はパチンコ三昧で荒れてた。栄養失調に何度もなったしずっと長袖だし、可哀想だよな、俺が言うのもなんだけど。
それで親から離れたいって寮のある高校選んだわけ。
まぁ、俺らは出会うべくして出会ったんだ。」
ここからは美波Ver.
PAの外のカフェで思いっきり泣いて視線を感じている私。
それでも泣かずにはいられなかった。
颯はなにも喋らずに私を笑いながら見ている。
あんな重い話をしといて、よく笑えるね!?
(私からしてほしいと頼んだけど)
いきなり颯が
「美波、俺カレー食べる」
これから焼き肉って言うのに、カレーとは、男子高校生の胃袋は大きいんだなと実感する。
颯のカレー食べてるの見てたら涙は止まっていた。
その後の焼き肉ではカルビやタンにハラミに……
もう食べ過ぎてお腹がはちきれそう。私以上に颯もめっちゃ食べてた。その時の颯の笑顔をずっと見ていたいと思った。
すぐ帰るのは寂しいから水族館に行くことにした。
次は私がずっと見られてる気がする。
「動物を見て?」
「美波の方が可愛い」
「私はずっと見れるから水槽の中にいる動物を見てよ!」
「いいの俺はこれで」
アナウンスが入る。これからイルカショーが始まるらしい。
イルカショーを見たことがない私は颯を連れてイルカショーを見に行った。
「うひゃー!!!めっちゃ飛ぶねイルカ!」
輪の中を飛んだり、ボールを投げたり、えさをキャッチしたり。
初めて見るイルカショーで大興奮!
元々動物が大好きで実家でウサギとハムスターに犬3匹飼っていた。
「めっちゃ楽しかった!」
「こんなハイテンションなの初めて見た」
「え、そう?」
「いつもツンだからね美波は」
「んー、そんなことないよ?」
「今はハイテンションだからなにも通用しないな」
このハイテンションがずっと続けばよかった…