君が忘れた先でまた出会う
1章, 出会い


 
俺はいつも、何かを忘れている____


なんとなくそう感じてしまう。


何を忘れているかなんてわからない。


頭の中にモヤがかかったみたいに、なんだかすっきりしない。


もしかしたら、全部俺の勘違いで俺は何も忘れていないのかもしれない。
  

そうだったら、何もかも解決する。
 

それとも……


俺が思い出そうとしていないだけ。


俺が「記憶」を拒否しているだけ。



  

……なーんて。


なにバカな想像してるんだろ。


そんなことあるはずない。


みんな、一度くらいこんな感覚を味わったことがあるはず。


少しだけセンチメンタルになっただけ。


……じゃあ


何年も何年も、目を閉じるとうかんでくる春風のような笑顔は、何なんだろう……?


俺は大切な何かをずっと忘れている。
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