君が忘れた先でまた出会う
2
校長の長い話を聞き流していたら、始業式は呆気なく終わった。
そして、それぞれの教室に戻り、ホームルームが行われる。
最初のホームルームは、先生の話、課題の提出、自己紹介などをしてすぐに終わった。
今日は学校自体午前中で終わる。
みんな、ホームルームが終わった瞬間ガヤガヤと話し始めた。
今日がこのクラス最初の1日だしな。
みんな、友だち作りをしているんだろう。
俺はそんなことする気ないけど。
俺はさっさとカバンに荷物をしまい、教室を出る。
……つもりだったんだ。
「あっ!高橋くん!」
聞いたことのある声がした。
このちょっと高めの声……さっき聞いたばかりだ。
「小笠原……なに?」
教室の入り口付近にいた小笠原が俺を呼び止めた。
何でこいつはさっきから俺に……
正直、めんどうくさい。
「見て!私と高橋くん、ピアスお揃いだねっ」
小笠原は、自分の左耳についているピアスを見せながら嬉しそうに言う。
確かにそれは、俺と一緒だった。
青いダイヤのような小さなピアス。
俺の右耳についているピアスもそれと一緒だ。
なんで……
まあ、偶然に決まってる。
こんなピアス、どこにでもありそうだし。
……でも、このピアスどこで買ったんだっけ……?
「俺、もう行く」
俺は嬉しそうに話す小笠原の横を通り過ぎる。
小笠原が俺の名前を呼んでいた気がしたが、無視した。
いちいち俺に話しかけてきて、何なんだあいつは。
俺は誰とも関わらない。
もちろん、誰かに恋なんてするわけない。
そう決めたんだ……。
小笠原は、目障りだ。