君が忘れた先でまた出会う
7
《アイラ》
蓮と私は幼馴染。
小さい頃から……4歳の頃から高校2年生の今日までずっと一緒だった。
と言っても、家が隣同士みたいなマンガの世界のような幼馴染ではないけど。
でも、幼稚園も小学校も中学校も高校も全部同じだった。
蓮はいつも私を助けてくれる。
いつも私のそばにいてくれる。
私は中学3年生のときに両親を事故でなくした。
ママとパパと私で歩道を歩いていたら、そこに車が突っ込んできた。
私はかすり傷だけだったけど、両親は真正面から衝撃を受けて、呆気なく死んだ。
その時のことは、実際あんまり覚えていない。
でも、ただ1つ確実に覚えていることがある。
私は、パパとママが死んだって聞いたとき、
「ざまあみろ」って思ったこと。
やっと死んでくれた。
私は本気でそう思ったんだ。
私は両親に虐待されていた。
最初はパパだけだったけれど、次第にママも私に手をあげるようになった。
いつからなんて、小さすぎて覚えてない。
それでも、何年も何年も耐え続けたことだけは覚えている。
だから、そんなパパとママがいなくなって嬉しかった。
それから、私は施設に入ったんだけど。
高校1年生のとき、施設内で揉めちゃって、私は施設を追い出された。
行く宛もなく、ブラブラしていた私を見つけてくれたのが蓮だった。
蓮はもともと高校から一人暮らしをしていたから。
「俺の家に来いよ」って言ってくれた。
だから、私と蓮は同棲している。
別に付き合っているわけではない。
ただ一緒に暮らしているだけ。
年頃の男女が同棲なんて、みんなが快く思うはずがない。
だから、この同棲はみんなには秘密にしている。
蓮とはクラスも同じだけど、クラス内ではほとんど話してない。
秘密の同棲
これが蓮と私の関係。
私は両親の死を喜ぶような最低な人間で。
この家……蓮の前では、言葉使いも悪く、笑顔もほとんど見せない裏表のある人間。
本当は冷たくて、感情なんてない。
……そうだよ。
私は、マンガに出てくるような可愛くて純粋で素直な女の子になんてなれない。
誰かを憎む、恨む、嫌う……そんな汚れた感情を必死に隠している
作り物の人間よ。