みずあめびより
あるコンペがあり、チームで一丸となり出した企画があったが、他社に契約をとられてしまったことがあった。

予算が厳しく、徹底的にリサーチしたり、メーカーに何度も価格交渉をしたり、皆で遅くまで残ってミーティングをしたりして作り上げた渾身の企画たった。

葉吉さんからその報告があり、ショックだったけれどどうしようもできないし、気分を変えたくて屋上に上がった。屋上は庭園になっていて、私のお気に入りの場所だった。

そうしたら先客がいた。葉吉さんだった。彼は『くそっ・・・。』と言いながら拳を握りしめていて、その拳は震えていた。

私は入り口からその姿を見てしまい、屋上には入ることができず会社に戻った。

しばらくして戻ってきた彼はいつものクールな葉吉さんだった。

本当は熱い人なのかもしれない・・・。

私は見てはいけないものを見てしまったという気持ちと同時に、なんだかホッとしたような嬉しい気持ちになった。


屋上で葉吉さんを見かけたのはそれが初めてではなかった。

植えられている植物を普段は見ることのない柔らかい表情で見つめているのを見たこともあった。

思わず見とれてしまった。彼の素顔を見てしまった気がして、ドキッとした。

もっとそんな姿が見たい、彼のことをもっと知りたい、なんて思ってしまっていた。



え?今、どこに向かってるって言った??

おれのいえ?いえ?イエ?I・E?

???!?!?!!!!!!
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