みずあめびより
「・・・。」

真剣な眼差しで言われ、胸がズキンと痛む。

「それで、葉吉さんのこと好きになったきっかけって何なんですか?」

迷ったがここまで話してしまったので、雨の日に家に泊めてもらって、『気になる』から『好き』になったことを話す。聞きながら新貝はどんどん驚愕の表情になっていった。

「・・・そこで深い仲になったことが始まりってことか・・・。」

ぽつりとつぶやく。

「ふふふ、深い仲!?なってない!ですよ!そんな!めっそうもない!」

慌てて否定したら声が裏返ってしまった。

「え?泊まったのに?いい歳した大人なのに?」

「ないです!」

「葉吉さん、大丈夫なのか?あ、でも相手が彩木さんならあり得るかも・・・。」

「・・・。」

───どういう意味だろう・・・。

「それで、昨日、告白されたんですか?」

「・・・はい。」

「もちろんOKしたんでしょ?二人は両想い、めでたしめでたし、ですね。」

新貝は開き直ったように笑顔で言う。

「いえ、返事はまだ・・・。」

「え!?好きなのに!?」

「・・・はい。」

「いちいち、俺の予想を超える人だなぁ。迷路でだって、俺が体調悪いとか勘違いするし。」

「・・・すみません。」

「なんでOKしないの?」

「それは・・・。」

「言わないと、どうなるかわかる?」

彼は途端に妖しい目つきになり、にじり寄ってくる。

「ま、待って・・・。」
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