みずあめびより
店の中だった、と触れる直前で手を引っ込める。

「そんなこと、ないし・・・。あ、子供にはどんな名前つけたい?」

鈴太郎は慌てて話題を自分から逸らした。

「そうですね・・・。漢字一文字とかかっこいいかも。男の子でも女の子でも。」

「いいね。」

「画数も大事にしたいです。いつか子供が自分の名前を調べた時に、画数が良かったら嬉しいかなって。あと、あだ名がどうなるかとか、外国語で考えた場合にその名前やイニシャルが変な意味を持たないか、とか、その時流行ってる名前だと同じ学年の子と被っちゃうかもしれないから流行ってる名前にはしないようにしたりとか。」

衣緒が思考を巡らせながら考えを述べていくと、鈴太郎は微笑んで言った。

「・・・すごい色々考えてるな。名前つけるのは任せた方が良さそうだな。」

「・・・!?」

───それって・・・それって・・・まさか・・・深い意味ある!?いや、でもまだ恋人になったばかりだし・・・。自意識過剰・・・恥ずかしい。

衣緒が自分の膝の上に目線を落としたところで料理が運ばれてきた。



「はい、6枚だからサービスで7回ですね。」

福引券を係の人に渡す。

「いいよ、回して。」

鈴太郎が促すと衣緒がハンドルを持ってガラガラと回す。黄色い玉がポトッと出てきた。

「はい、9等、花の種セットです。」

「わ!嬉しい。」

彼女はほくほくと喜んだ。

その後二人で交互に回したが全部10等のポケットティッシュだった。

「最後は二人で回しましょう。あんず飴の時みたいに当たるかも。」

「ああ。」

衣緒の提案に鈴太郎が頷き二人でハンドルを持って回す。

ポトッと玉が落ちた。

「「!!!!!」」
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