みずあめびより
「まだ起きてるか?」
30分程して鈴太郎が声をかける。
「はい。」
「珍しいな。寝付きのよさ世界記録保持者なのに。」
「眠かったけどなんか目が覚めちゃって。」
──お姫さま抱っこ・・・なんてされちゃったから・・・。それにこんな、手を伸ばしたら触れられるくらい近くで寝るなんて・・・。前に泊めてもらった時よりもずっと近い。
衣緒は布団の中の手をぎゅっと握りしめた。
「明日の朝、下のカフェ行かないか?下に住んでいる彼女、安西さん、もし来てたら紹介するよ。」
「はい。・・・あの。」
衣緒は鈴太郎の方を見て何かを言おうとして口ごもった。
「ん?」
「えーと・・・。」
「何だよ?」
促すと彼女は思い切った表情で口を開いた。
「うまく言えないのですが・・・葉吉さんも、私に甘えてくださいね。」
「え?」
「愚痴言ったり、八つ当たりしたり、泣いたり・・・。無理しないでくださいね。大したことは出来ないですけど、私、いつもそばにいますから。頼ってくださいね。」
「衣緒・・・。」
「・・・。」
驚いた目で彼女を見つめると、意志のこもった強い眼差しで見つめ返された。
「わかった。ありがとう。」
そう言って微笑むと、はにかんだ微笑みが返ってきた。
「あ、そう言えば入浴剤何色になったんですか?」
「ああ、白くなった。」
「意外。青、緑、と来たからなんとなく黄色かと思いました。香りはどうなりましたか?」
「知りたい?」
「?気になります。」
鈴太郎は起き上がり、ベッドの前で膝立ちになると、戸惑う彼女の方に体を倒して抱きしめた。
「・・・どう?香りする?」
「・・・えっ、えっと、さっきも、こうしてもわからなかったし・・・。」
「花の香りになった。面白い入浴剤だよな。」
「は、はい・・・。」
二人とも体がどんどん熱くなるのを自覚していた。
「・・・俺、リビングのキャンドル消してくるから。」
鈴太郎は寝室を出てリビングに行くと、ふーっと息を吐く。
───危なかった。あのままだったら先に進んでしまいそうで・・・。衣緒が寝るまで待ってから戻ろう・・・。
ゆっくりとハーブティーを飲んで気持ちを落ち着けてからキャンドルを消し、寝室に戻ると衣緒は寝息を立てていた。鈴太郎はその髪を優しく撫でて唇にそっとキスを落とした。
30分程して鈴太郎が声をかける。
「はい。」
「珍しいな。寝付きのよさ世界記録保持者なのに。」
「眠かったけどなんか目が覚めちゃって。」
──お姫さま抱っこ・・・なんてされちゃったから・・・。それにこんな、手を伸ばしたら触れられるくらい近くで寝るなんて・・・。前に泊めてもらった時よりもずっと近い。
衣緒は布団の中の手をぎゅっと握りしめた。
「明日の朝、下のカフェ行かないか?下に住んでいる彼女、安西さん、もし来てたら紹介するよ。」
「はい。・・・あの。」
衣緒は鈴太郎の方を見て何かを言おうとして口ごもった。
「ん?」
「えーと・・・。」
「何だよ?」
促すと彼女は思い切った表情で口を開いた。
「うまく言えないのですが・・・葉吉さんも、私に甘えてくださいね。」
「え?」
「愚痴言ったり、八つ当たりしたり、泣いたり・・・。無理しないでくださいね。大したことは出来ないですけど、私、いつもそばにいますから。頼ってくださいね。」
「衣緒・・・。」
「・・・。」
驚いた目で彼女を見つめると、意志のこもった強い眼差しで見つめ返された。
「わかった。ありがとう。」
そう言って微笑むと、はにかんだ微笑みが返ってきた。
「あ、そう言えば入浴剤何色になったんですか?」
「ああ、白くなった。」
「意外。青、緑、と来たからなんとなく黄色かと思いました。香りはどうなりましたか?」
「知りたい?」
「?気になります。」
鈴太郎は起き上がり、ベッドの前で膝立ちになると、戸惑う彼女の方に体を倒して抱きしめた。
「・・・どう?香りする?」
「・・・えっ、えっと、さっきも、こうしてもわからなかったし・・・。」
「花の香りになった。面白い入浴剤だよな。」
「は、はい・・・。」
二人とも体がどんどん熱くなるのを自覚していた。
「・・・俺、リビングのキャンドル消してくるから。」
鈴太郎は寝室を出てリビングに行くと、ふーっと息を吐く。
───危なかった。あのままだったら先に進んでしまいそうで・・・。衣緒が寝るまで待ってから戻ろう・・・。
ゆっくりとハーブティーを飲んで気持ちを落ち着けてからキャンドルを消し、寝室に戻ると衣緒は寝息を立てていた。鈴太郎はその髪を優しく撫でて唇にそっとキスを落とした。