みずあめびより
「えええ!?!?!?!?!?」

───衣緒ってこう見えて、そういうところ意外に大胆なのか!?

鈴太郎は心臓が跳ね上がり、全身が一気に熱くなるのを感じた。

「あ・・・でも買いに行かないと駄目ですね。」

「・・・いや、ある、よ・・・。」

───ベッドの横にあるチェストの引き出しに残ってるはず・・・。

「?残ってた食材、使っちゃいましたし。」

「・・・食材?」

「何鍋にしましょうか?」

「あ、鍋!鍋だよな!」

「お鍋じゃなかったら何を・・・?」

「い、行こう!スーパー、ちょうど値引きシール貼られる時間だから!」

鈴太郎は立ち上がり、衣緒の手をぐいっと引っ張った。



「野菜は高かったけど、肉と豆腐が安く手に入ってよかったな。」

スーバーからの帰り道、雲に覆われた空の下、静かな住宅街を手を繋いで歩く。

「デザートもお得に買えましたしね。」

───葉吉さんも私と金銭感覚が同じなのが嬉しかった・・・。

「9月なのに寒くて、本当鍋びよりって感じだよな。」

「はい。」

「・・・冬に比べたら全然寒くないんだけど・・・。」

鈴太郎はそう言って繋いだ手を自分のパーカーのポケットに入れる。

「!!」

「・・・季節、先取りってことで。」

驚く衣緒に彼はそうつぶやいてポケットの中で彼女の手をぎゅっと握った。
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