みずあめびより
「・・・俺、結婚したんだ。年上の人と。あの後、年下の子とつきあってもうまくいかなかった。年上の方が合うみたいで。」

「そうなんだ。よかった。おめでとう。私も嬉しいよ。」

衣緒は心からの笑顔で言う。

「・・・ありがとう。俺、衣緒ちゃんといた3年間楽しかったよ。色々あったけど、そう思える。」

「私も楽しかった。いい思い出だよ。ありがとう。一緒にいてくれて。」

二人は8年の時を経て微笑みあった。

「あ、俺、もう行かなくちゃ。じゃあ、元気でね。」

恒は衣緒に手を振り、鈴太郎に会釈をすると小走りで会場内に入っていった。

「・・・帰ろうか。」

「・・・はい。」



車がマンションの駐車場に到着した。辺りは暗くなり始めている。

「・・・。」

───葉吉さん、帰り道一言も話してくれない・・・怒ってるよね・・・ちゃんと話さなきゃ。

「あの・・・。」
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