みずあめびより
「うち引っ越すから大家さんと話したんだけどさ、広い部屋、空いてるみたいだよ。女の子が二人でルームシェアしてたんだけど、二人共彼氏が出来て出ていったみたいで。両方ともってすごくない?リンタロウとイオちゃんのこともあるし、このマンションって恋が叶うマンションなのかも!うちも頑張ろう!」
安西は勢いよく片手を空に突き上げる。
「叶うように祈ってます。」
そんな彼女を素敵だなと思い、衣緒が微笑みながら言うと、安西もにっこりした。
「ありがとう。じゃあね~。」
大股で意気揚々と歩いていく彼女を見送って部屋に戻った。
ソファに並んで座って二人とも足元を見つめていた。日曜日の夜、時計もすっかり暗くなった空も目に入れたくなかったからだ。時計の音がやたらと大きく感じる。
「・・・そろそろ帰る、よな。明日仕事だし。駅まで送るから荷物・・・。」
「・・・。」
鈴太郎が想いを振り切るように声をかけると、衣緒は無言のまま膝の上で両手を握りしめた。そんな彼女を見て、鈴太郎はこの想いを振り切るなんて無理だと思った。
「・・・帰したくなさ過ぎて怖いけど・・・なんて、ダメ上司だな、俺。」
「・・・今は、上司じゃないんですよね?」
「!!!」
衣緒のその言葉に鈴太郎は衝動的に彼女をソファに押し倒した───あの日、出張先のホテルでしたように。
安西は勢いよく片手を空に突き上げる。
「叶うように祈ってます。」
そんな彼女を素敵だなと思い、衣緒が微笑みながら言うと、安西もにっこりした。
「ありがとう。じゃあね~。」
大股で意気揚々と歩いていく彼女を見送って部屋に戻った。
ソファに並んで座って二人とも足元を見つめていた。日曜日の夜、時計もすっかり暗くなった空も目に入れたくなかったからだ。時計の音がやたらと大きく感じる。
「・・・そろそろ帰る、よな。明日仕事だし。駅まで送るから荷物・・・。」
「・・・。」
鈴太郎が想いを振り切るように声をかけると、衣緒は無言のまま膝の上で両手を握りしめた。そんな彼女を見て、鈴太郎はこの想いを振り切るなんて無理だと思った。
「・・・帰したくなさ過ぎて怖いけど・・・なんて、ダメ上司だな、俺。」
「・・・今は、上司じゃないんですよね?」
「!!!」
衣緒のその言葉に鈴太郎は衝動的に彼女をソファに押し倒した───あの日、出張先のホテルでしたように。