みずあめびより
「じゃ、後で。今日玉川さんお休みだから、来客時お茶出しますね。」
「ああ、よろしく。」
衣緒は助手席を降り車が見えなくなるまで見送るとゆっくり歩き出した。
午後。
「葉吉さん、三坂さんいらっしゃいました。会議室2にお通ししました。」
衣緒が声をかけると鈴太郎が急いで立ち上がり、会議室の方に向かう。
「ありがとう。」
「カタログ、お忘れです。」
追いかけてカタログを数冊渡す。
「あ、ごめん、ありがと。」
給湯室でお茶を入れると会議室に向かう。ドアの前まで来ると、三坂の甘えたような声が聞こえ、耳がピクッと反応した。
「えぇー、そんなことないですよぉ。」
───三坂さんてこんな感じの人だったっけ?キリッとして仕事できそうな印象だったけど・・・。
三坂静来が勤める北欧系雑貨メーカーとはいくつかの商品を共同開発していた。鈴太郎と同じくらいの年齢と思われる彼女は外見は女優のように美しく、抜群のセンスとビジネススキルの持ち主で、共同開発した製品はもれなく売れ筋となっていた。
ノックをすると「はい。」と鈴太郎の声がする。
「失礼致します。」
会議室内に入ると、他社との打ち合わせだというのに三坂はジャケットを脱いで胸元が大きく開いたカットソー姿だった。手の動きも心なしか悩ましげな雰囲気をかもし出している。
お茶を配膳すると『ありがとうございます。』と、先程とは違う味気ないトーンで言われる。鈴太郎にもお茶を配膳し『ありがとう。』と言われると、『失礼致しました。』と一礼し会議室を出る。
───なんか、なんていうか・・・。
三坂の様子が気になってしまったがそこに留まることも出来ず踵を返そうとすると、再び彼女の甘い声が聞こえてくる。
「葉吉さんてぇ、彼女とかいるんですかぁ?」
その質問にギクッとなる。
「いや、いませんよ。」
鈴太郎はキッパリと即答した。
「ああ、よろしく。」
衣緒は助手席を降り車が見えなくなるまで見送るとゆっくり歩き出した。
午後。
「葉吉さん、三坂さんいらっしゃいました。会議室2にお通ししました。」
衣緒が声をかけると鈴太郎が急いで立ち上がり、会議室の方に向かう。
「ありがとう。」
「カタログ、お忘れです。」
追いかけてカタログを数冊渡す。
「あ、ごめん、ありがと。」
給湯室でお茶を入れると会議室に向かう。ドアの前まで来ると、三坂の甘えたような声が聞こえ、耳がピクッと反応した。
「えぇー、そんなことないですよぉ。」
───三坂さんてこんな感じの人だったっけ?キリッとして仕事できそうな印象だったけど・・・。
三坂静来が勤める北欧系雑貨メーカーとはいくつかの商品を共同開発していた。鈴太郎と同じくらいの年齢と思われる彼女は外見は女優のように美しく、抜群のセンスとビジネススキルの持ち主で、共同開発した製品はもれなく売れ筋となっていた。
ノックをすると「はい。」と鈴太郎の声がする。
「失礼致します。」
会議室内に入ると、他社との打ち合わせだというのに三坂はジャケットを脱いで胸元が大きく開いたカットソー姿だった。手の動きも心なしか悩ましげな雰囲気をかもし出している。
お茶を配膳すると『ありがとうございます。』と、先程とは違う味気ないトーンで言われる。鈴太郎にもお茶を配膳し『ありがとう。』と言われると、『失礼致しました。』と一礼し会議室を出る。
───なんか、なんていうか・・・。
三坂の様子が気になってしまったがそこに留まることも出来ず踵を返そうとすると、再び彼女の甘い声が聞こえてくる。
「葉吉さんてぇ、彼女とかいるんですかぁ?」
その質問にギクッとなる。
「いや、いませんよ。」
鈴太郎はキッパリと即答した。