みずあめびより
───・・・え?
淀みない鈴太郎の言葉が耳に刺さり、そこから全身が石化していくようだったが、そのままそこにいるわけにもいかず無理矢理足を進める。
給湯室の台にお盆を置くと呆然としてしまう。
───確かに、私達のことは社内でも一部の人しか知らない・・・だけど、相手が誰かとは言わないでも付き合ってる人がいることは言っても・・・。
モヤモヤしたまま仕事に戻った。
ミーティングが終わり鈴太郎が戻って来て衣緒に声をかける。
「彩木さん、湯呑み洗っといたから。お盆も出てたからしまっといた。」
「・・・え、あ、ありがとうございます。」
無意識に彼をじっと見つめてしまう。
「ん?」
「いえ・・・あ、今工場の小林さんからお電話あって『ミーティング終わったら電話ください。』とのことです。北岡さんに、とのことでしたが、外出中とお伝えすると、葉吉さんに、と。」
「ああ、あの件だな。すぐかけ直す。ありがとう。」
足早に自席に戻る彼の背中を見つめる。見たところでそこに答えが書いてあるわけでもなかった。
───家に帰ったら聞いてみようか・・・でも、うっとおしいこと言って嫌われたら嫌だし・・・。きっと仕事にプライベートを持ち込みたくないだけで、深い意味はないよね・・・。
自分に言い聞かせると、北岡に頼まれたプレゼン資料の作成にとりかかった。
淀みない鈴太郎の言葉が耳に刺さり、そこから全身が石化していくようだったが、そのままそこにいるわけにもいかず無理矢理足を進める。
給湯室の台にお盆を置くと呆然としてしまう。
───確かに、私達のことは社内でも一部の人しか知らない・・・だけど、相手が誰かとは言わないでも付き合ってる人がいることは言っても・・・。
モヤモヤしたまま仕事に戻った。
ミーティングが終わり鈴太郎が戻って来て衣緒に声をかける。
「彩木さん、湯呑み洗っといたから。お盆も出てたからしまっといた。」
「・・・え、あ、ありがとうございます。」
無意識に彼をじっと見つめてしまう。
「ん?」
「いえ・・・あ、今工場の小林さんからお電話あって『ミーティング終わったら電話ください。』とのことです。北岡さんに、とのことでしたが、外出中とお伝えすると、葉吉さんに、と。」
「ああ、あの件だな。すぐかけ直す。ありがとう。」
足早に自席に戻る彼の背中を見つめる。見たところでそこに答えが書いてあるわけでもなかった。
───家に帰ったら聞いてみようか・・・でも、うっとおしいこと言って嫌われたら嫌だし・・・。きっと仕事にプライベートを持ち込みたくないだけで、深い意味はないよね・・・。
自分に言い聞かせると、北岡に頼まれたプレゼン資料の作成にとりかかった。