みずあめびより
「俺の胸で泣けばいいです。」

「!?!?!?」

「・・・俺、彩木さんのこと結構引きずってますから。最近彩木さん前より更に魅力的になったし。」

新貝は熱っぽい眼差しになり手を伸ばしてくる。

「・・・あの!」

思わず後ずさると彼は少し傷付いた表情になった。

「・・・心配しなくても触れたりしませんよ。きっと葉吉さんといてすごく幸せだからそんなに素敵なんだろうし。」

新貝は切なげにそう言いながら手を下ろした。

「ただ、俺もいるってこと忘れないで下さいね。俺、彩木さんのこと、女性として以上に人として好きですから。力になれることがあったら言ってくださいね。」

「・・・新貝さん。」

「そんな潤んだ目しちゃって・・・こんなタイミングでこんなこと言われて、俺のこと好きになっちゃいましたか?」

いつもの彼らしい不敵な笑みを浮かべる。

「え・・・。」

「冗談ですよ。俺、仕事戻りますから。」

新貝は出口の方に向かうと笑顔で手を振った。
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