みずあめびより
───新貝さんにお礼、言えなかったな・・・。
スマホを取り出す。去年の出張の後ガラケーから機種変更したのだった。鈴太郎とのメッセージのやりとりを開く。
『打ち合わせ順調ですか?飲み過ぎ注意ですよ!』
メッセージを打ち込んで消す。
───違う。私が言いたいのはこんなことじゃなくて・・・。
『北岡さん、会社にいらっしゃいます。三坂さんとお二人なんですか?』
聞きたいことをそのまま打ち込んで指が止まる。
───こんな責めるような・・・。『お二人でですか?』って昨日聞いたばかりなのに同じこと聞くの?でも北岡さんも一緒だって確かに言っていたよね・・・。だけど、こんなこと聞かれたらうっとおしいよね。二人だとしても仕事の打ち合わせだって言ってるのに・・・ただ男女二人きりだってだけ、三坂さんと一緒だってだけで・・・。
新貝が出ていった出口に目をやる。
───新貝さんの言うことは正しいと思う。でも私、言いたいこと言っても好きでいてもらえるほど自分に自信がない。変に騒いで葉吉さんに嫌われたくない・・・そうだ。安西さんの時だって私の早とちりだったじゃない。私だって今新貝さんと二人きりで薄暗い部屋で近い距離で話したわけだから、それだってやましい、というかよくないことなのかも・・・。仕事の話じゃないし。
「・・・。」
メッセージアプリを終了し手帳型のスマホケースをパタンと閉じると、休憩室を出て自分の席に戻った。
スマホを取り出す。去年の出張の後ガラケーから機種変更したのだった。鈴太郎とのメッセージのやりとりを開く。
『打ち合わせ順調ですか?飲み過ぎ注意ですよ!』
メッセージを打ち込んで消す。
───違う。私が言いたいのはこんなことじゃなくて・・・。
『北岡さん、会社にいらっしゃいます。三坂さんとお二人なんですか?』
聞きたいことをそのまま打ち込んで指が止まる。
───こんな責めるような・・・。『お二人でですか?』って昨日聞いたばかりなのに同じこと聞くの?でも北岡さんも一緒だって確かに言っていたよね・・・。だけど、こんなこと聞かれたらうっとおしいよね。二人だとしても仕事の打ち合わせだって言ってるのに・・・ただ男女二人きりだってだけ、三坂さんと一緒だってだけで・・・。
新貝が出ていった出口に目をやる。
───新貝さんの言うことは正しいと思う。でも私、言いたいこと言っても好きでいてもらえるほど自分に自信がない。変に騒いで葉吉さんに嫌われたくない・・・そうだ。安西さんの時だって私の早とちりだったじゃない。私だって今新貝さんと二人きりで薄暗い部屋で近い距離で話したわけだから、それだってやましい、というかよくないことなのかも・・・。仕事の話じゃないし。
「・・・。」
メッセージアプリを終了し手帳型のスマホケースをパタンと閉じると、休憩室を出て自分の席に戻った。