みずあめびより
その後30分ほど残業し近くの定食屋で食事をしてから帰宅の徒に着いた。

家に帰れば冷凍庫に作り置きのおかずや市販の冷凍食品があった。夜の一人での外食は、その後仕事に戻る時以外はしたことがなかった。食事をしている間に鈴太郎の飲み会が終わるとは思えなかったが、なんとなくまだ会社付近に留まりたかったのだ。

───あの定食屋さん美味しかったな・・・今度葉吉さんと行きたいけど会社の近くだから難しいかな・・・でも、上司と部下が昼休みランチに行くのって変じゃないよね?それは男女でも大丈夫・・・だよね?

バスに揺られながらそんなことを考えていると最寄りの停留所に着く。

家に着き、家事をしていても時計の針はなかなか進まなかった。

───時計が壊れたのか、地球の回転がゆっくりになったのか・・・。

鈴太郎が最近忙しいので彼が担当の家事まで片付ける。それが終わるとスマホのタスクリストアプリで『時間があったらやる』としていたことも上から順にこなしていく。

それらが終わってしまい、作りかけになっているスノードームに目をやる。自社で販売している手づくりキットを個人的に購入して作っているものだった。

しかし気持ちがモヤモヤし過ぎてそれにとりかかる気にはなれず、お風呂に入ることにした。


お風呂から出て時計を見ると日付が変わろうとしていた。鈴太郎からの連絡はない。

───この時間なら、こっちから連絡してもいいよね・・・?三坂さんがどうとかより、飲み過ぎて倒れたりしてないか心配だし・・・。

スマホを開きメッセージアプリを起動し『大丈夫ですか?』と打ち込み、『心配です』と続けるかどうかで迷う。

───重い感じになってしまうのは嫌だから・・・もし返信がなかったら後で送ろう。

そう思いそのまま送信した。
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