みずあめびより
『連絡出来なくてごめん。疲れてたからか酒回るの早くて・・・』

通知バーをタップしアプリを起動してメッセージを確認すると既読になってしまうので、タップせずに通知バーをスクロールさせる。

『あまり覚えてないんだけど、鍵を会社に忘れて、インターホンで衣緒を起こしたくないから会社に取りに戻ったのは覚えてる。今起きたら会社のソファで寝てた。』

読み終わったタイミングで次のメッセージが送られてきた。

『俺大丈夫だから。心配かけて本当にごめん。起きたら電話してほしい。』

───無事だった・・・。

気が抜けると共に体の力も抜けて、両手を床について体を支える。

───私が心配して起きてるってわかったら葉吉さん気にしちゃうかもしれない。いつも6時に起きるからそれまで未読にしておこう。

ホッとすると今度は三坂のことを考えてしまう。

───昨日、連絡するの忘れるくらい楽しかったのかな・・・私は三坂さんみたいに仕事も出来ないし華がなくて色気もないし・・・
もっと大人な部屋着や下着にすればよかったかな・・・料理だって掃除だって頑張ればもっと出来たはず・・・掃除、葉吉さんも『それなりにきれいだったら完璧じゃなくていいって思うタイプ』って言ってたからその言葉に甘えてしまっていたのがいけなかったのかな・・・恒くんの時と同じ・・・自分にとって都合のいい言葉に甘えて・・・。

再び涙がこぼれた。

───葉吉さん私なんかにはもう飽きちゃったのかな・・・。
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