みずあめびより
『衣緒、通勤のバス、定期券じゃなくて回数券の実費支給だろ?今日の朝バス通勤になっちゃってよければ、俺これからネットカフェでシャワー借りてそのまま仕事しようと思う。着替え一式ロッカーにあるし。それで今日は定時で帰るよ。』
「はい。」
『本当にごめん。』
「いえ。何か持っていくものありますか?ヒゲソリとか整髪料とか・・・。」
『いや、大丈夫。会社に色々置いてあるから特にないよ。』
「わかりました。じゃあまた後で。」
『ああ。気をつけてな。』
衣緒は電話を切ると力なく壁に寄りかかり俯いた。
───三坂さんのこと聞けなかった・・・。
鈴太郎が無事で本当によかったと思う気持ちと寝ていない疲れ、三坂とのことへのモヤモヤが入り混じり、そのまましばらくぐったりとしていた。
心はモヤモヤしたままだったが早く鈴太郎の顔を見たい気持ちが勝り、いつもより早く会社に到着した。入り口で出勤時刻を打刻し席に向かおうとすると、鈴太郎が衣緒の顔を見た途端目を見開いてガタッと立ち上がる。
まだ出勤している社員も少なく電話もかかって来ないため、その音は大きく響いた。衣緒が驚いて音がした方を見ると彼がこちらにずんずんと歩いて来ていた。
「来て。」
鈴太郎は強い眼差しで言うと廊下の方に向かう。
誰もいない廊下に出ると衣緒の腕を掴み、一番近くにあった会議室2の入り口のスライド式のサインを「使用中」にして中に入った。
「はい。」
『本当にごめん。』
「いえ。何か持っていくものありますか?ヒゲソリとか整髪料とか・・・。」
『いや、大丈夫。会社に色々置いてあるから特にないよ。』
「わかりました。じゃあまた後で。」
『ああ。気をつけてな。』
衣緒は電話を切ると力なく壁に寄りかかり俯いた。
───三坂さんのこと聞けなかった・・・。
鈴太郎が無事で本当によかったと思う気持ちと寝ていない疲れ、三坂とのことへのモヤモヤが入り混じり、そのまましばらくぐったりとしていた。
心はモヤモヤしたままだったが早く鈴太郎の顔を見たい気持ちが勝り、いつもより早く会社に到着した。入り口で出勤時刻を打刻し席に向かおうとすると、鈴太郎が衣緒の顔を見た途端目を見開いてガタッと立ち上がる。
まだ出勤している社員も少なく電話もかかって来ないため、その音は大きく響いた。衣緒が驚いて音がした方を見ると彼がこちらにずんずんと歩いて来ていた。
「来て。」
鈴太郎は強い眼差しで言うと廊下の方に向かう。
誰もいない廊下に出ると衣緒の腕を掴み、一番近くにあった会議室2の入り口のスライド式のサインを「使用中」にして中に入った。