みずあめびより
「・・・え?それは?まさか?」

鈴太郎は少し体を離すと、戸惑っている様子の衣緒をまっすぐ見つめて言う。

「衣緒しかいないだろ。もう好きとか嫌いとかっていう次元じゃないから。」

───それでその後三坂さんに『ご結婚されるんですか?』って聞かれて答えて・・・。いや、これは今ここでは言いたくない。

「・・・えーと、その、じゃあ・・・。」

衣緒は喜びでわなわなと震えてしまっていたが、どうしても確認したいことがあった。しかし、彼女が口を開く前に鈴太郎がきっぱりと言った。

「俺と三坂さんは何でもないよ。彼女、あの日はなんだか様子がおかしかったけど、俺の答え聞いたら『そうなんですね。すみません。変なことを聞いてしまって。』っていつも通りの感じに戻ってた。飲み会の時、『彼氏と別れて辛くて、独身男性に片っ端から相手いないか聞いてみてた』って言ってた。」

「・・・なんだ、よかった・・・。」

今度は衣緒が机に突っ伏した。その髪に鈴太郎が触れる。

「俺は衣緒のものだからな。ずっと。」

「ずっと・・・?」

耳元でささやかれ顔を上げるとすぐ近くに彼の顔があった。その顔が近づいてくる。
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