みずあめびより
パン焼きびより
「ばしゃああぁぁぁ」
───なんかこぼしたか?
鈴太郎が顔を上げると、『あぁ~っ。』と声をあげた衣緒はケトルをキッチンカウンターの上に置き、雑巾を取りに行った。お湯を沸かそうとして手を滑らせたようだ。
床を拭き終わり雑巾を洗って干してくると鈴太郎に声をかける。
「リンくん、お湯沸かすけど何か飲む?」
「いや、いい・・・。」
───2ヶ月以上経ってもリンくん呼び、タメ口、破壊力あるな・・・一気に距離が近づいた。でも、それでも今俺はお茶飲んでいる気分じゃ・・・いや、むしろ衣緒の事が好きだからこそ・・・そして今日だからこそ・・・。
7月最後の土曜日。猛暑日の昼下がり。家にいればいつもなら冷房の効いた部屋で熱いお茶を飲んでまったり過ごす時間だ。
鈴太郎はモヤモヤした気分でソファに座り雑貨のカタログを見ていた。
「・・・。」
───リンくん、最近何か変だ。
衣緒が自分の分のお茶を入れながら鈴太郎の様子を観察していると、彼はカタログの同じページをずっと見ているようだった。
「何かいいのあった?」
「いや・・・。」
衣緒がティーカップをローテーブルの上に置いてから鈴太郎の隣に座ってカタログに目を向けて言うと、彼は顔をあげることなく小さな声でつぶやいた。
「最近、元気ないよね?体調大丈夫?それか・・・何かあったの?」
「何でもねえよ。」
鈴太郎の顔を覗き込んで最近ずっと気になっていたことを尋ねると、彼は目線を逸らしてふてくされた様に言った。
「・・・ごめんね、こういうのうっとおしいよね。言いたくないなら無理に聞かない・・・けど、もし何か私に出来ることあったら言ってね。」
ティーカップを持って立ち上がると後ろから静かに話しかけられる。
「様子がおかしいのは衣緒の方だ。」
───なんかこぼしたか?
鈴太郎が顔を上げると、『あぁ~っ。』と声をあげた衣緒はケトルをキッチンカウンターの上に置き、雑巾を取りに行った。お湯を沸かそうとして手を滑らせたようだ。
床を拭き終わり雑巾を洗って干してくると鈴太郎に声をかける。
「リンくん、お湯沸かすけど何か飲む?」
「いや、いい・・・。」
───2ヶ月以上経ってもリンくん呼び、タメ口、破壊力あるな・・・一気に距離が近づいた。でも、それでも今俺はお茶飲んでいる気分じゃ・・・いや、むしろ衣緒の事が好きだからこそ・・・そして今日だからこそ・・・。
7月最後の土曜日。猛暑日の昼下がり。家にいればいつもなら冷房の効いた部屋で熱いお茶を飲んでまったり過ごす時間だ。
鈴太郎はモヤモヤした気分でソファに座り雑貨のカタログを見ていた。
「・・・。」
───リンくん、最近何か変だ。
衣緒が自分の分のお茶を入れながら鈴太郎の様子を観察していると、彼はカタログの同じページをずっと見ているようだった。
「何かいいのあった?」
「いや・・・。」
衣緒がティーカップをローテーブルの上に置いてから鈴太郎の隣に座ってカタログに目を向けて言うと、彼は顔をあげることなく小さな声でつぶやいた。
「最近、元気ないよね?体調大丈夫?それか・・・何かあったの?」
「何でもねえよ。」
鈴太郎の顔を覗き込んで最近ずっと気になっていたことを尋ねると、彼は目線を逸らしてふてくされた様に言った。
「・・・ごめんね、こういうのうっとおしいよね。言いたくないなら無理に聞かない・・・けど、もし何か私に出来ることあったら言ってね。」
ティーカップを持って立ち上がると後ろから静かに話しかけられる。
「様子がおかしいのは衣緒の方だ。」