みずあめびより
「駄目だった・・・?」

───私、今までこういうことしなかったのに。リンくんと付き合ってからどんどん知らなかった自分が出て来てどうしたらいいのかわからない。私からこんなことされても嬉しくないよね・・・可愛くもないし、いい歳なのに・・・むしろ引いてる?幸せ過ぎて調子に乗り過ぎちゃったかな・・・。

衣緒はすっかりシュンとしてしまい、鈴太郎から体を離した。すると彼は切羽詰まった様子で彼女を抱き寄せた。

「駄目なわけないだろ・・・だから困るんだよ・・・。」

───昼間からこんな気持ちになっちゃって・・・どう収めれば・・・。

「それは、いいってこと?・・・嬉しいって思ってくれてるってこと?」

「・・・そうだよ。当たり前だろ。」

「そっか。」

───よかった・・・。

衣緒はホッとしてふわりとした笑顔になった。

「な・・・!」

───だから、そんな風に笑うなって・・・トドメさすなよ・・・これは昼からベッド行きか・・・?

熱い気持ちが押し寄せてくる。

「リンくん・・・じゃあ・・・このまま・・・。」

衣緒が笑顔から何かを決心した表情に変わった。

「こ、このまま・・・?」

───もしかして衣緒も俺と同じように思って・・・?

鈴太郎の喉がゴクン、と鳴る。
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