みずあめびより
「や・・・開けないで・・・!!」

叫んだところで時既に遅しであった。

「・・・!!それ、パジャマ・・・!?」

鈴太郎は目を見開いて衣緒の身体を上から下まで眺める。

まるでその視線がビーム光線であるかのように、それを浴びた全身が熱くなる。

「ち、違うの、これは・・・これは・・・通販で頼んだら違うやつが届いちゃったみたいで、もっとちゃんと袖があって、丈も長い普通のワンピース頼んでて、気づかないで着ちゃって、返送して交換してもらわなきゃって・・・。あ、でも直接肌に触れるものだし、返品できないか・・・。」

「いや、さすがに着る前に気づくだろ・・・。」

しどろもどろになる衣緒に鈴太郎は彼女の身体をじっと見つめたまま一応突っ込む。

「き、今日はすごく嬉しいことがあったから、ぼーっとしてて・・・。」

「・・・俺の為に着てくれたんだろ?」

───多分ネットで、散々悩んで迷って思い切って買ったんだろうな・・・。

もう一度、今度はまるで全身をスキャンするかのように、細部まで凝視してしまう。

───透けてるし・・・胸元のリボンほどいたら、ハラッと前が開いて・・・まずい、想像しただけで鼻血出そう・・・。

衣緒は無言になった彼の熱過ぎる視線を受けて恥ずかしさで泣きそうになる。

「その、その、わかってる、肌出せばいいってもんじゃないんだよって・・・上半身貧相なくせに足太いし、そんなもの見せられてもって感じだよね。いつものに着替えるから・・・。」

鈴太郎は、顔を伏せて大慌てで洗面所を出て行こうとした彼女を抱きしめて捕まえた。
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