みずあめびより
役所の外の自動販売機で、鈴太郎は麦茶、衣緒はバナナ豆乳を購入する。
「・・・これで俺達は夫婦なんだな。」
「うん・・・なんか実感ないけど・・・後で『受理しました。』っていう紙が来るんだよね。」
「うん。」
衣緒は飲み物の最後の一口をゆっくりと飲み干してから口を開いた。
「・・・あのね、私、子供の頃からコンプレックスの固まりだったの。なんかうまく生きられなくて空回りしてばかりで・・・。でも今思うのは、つらいこともあったけど、私じゃなかったら、こういう風に生きて来なかったら、リンくんと一緒になれてないのかなって思うと、これで良かったんだなって。むしろ、私は私じゃなくちゃ駄目だったんだ。今まで自分なりに精一杯やって来たことは間違ってなかったんだって思うんだ。」
想いをこめて鈴太郎を見つめると、彼は衣緒を抱き寄せて静かに、しかしはっきりと言った。
「・・・俺は、今まで生きてきた結果、今こうなってる衣緒が好きだ。それは今までの衣緒の人生も全部、大切だって思ってるってことだよ。」
「・・・ありがとう。」
鈴太郎の言葉が心に染みて声が震えた。
「泣いたらメイクとれるぞ。行こう。」
彼は衣緒の涙を指で拭うとそのまぶたに軽く口づけて震える手を優しく包み込んだ。
「・・・これで俺達は夫婦なんだな。」
「うん・・・なんか実感ないけど・・・後で『受理しました。』っていう紙が来るんだよね。」
「うん。」
衣緒は飲み物の最後の一口をゆっくりと飲み干してから口を開いた。
「・・・あのね、私、子供の頃からコンプレックスの固まりだったの。なんかうまく生きられなくて空回りしてばかりで・・・。でも今思うのは、つらいこともあったけど、私じゃなかったら、こういう風に生きて来なかったら、リンくんと一緒になれてないのかなって思うと、これで良かったんだなって。むしろ、私は私じゃなくちゃ駄目だったんだ。今まで自分なりに精一杯やって来たことは間違ってなかったんだって思うんだ。」
想いをこめて鈴太郎を見つめると、彼は衣緒を抱き寄せて静かに、しかしはっきりと言った。
「・・・俺は、今まで生きてきた結果、今こうなってる衣緒が好きだ。それは今までの衣緒の人生も全部、大切だって思ってるってことだよ。」
「・・・ありがとう。」
鈴太郎の言葉が心に染みて声が震えた。
「泣いたらメイクとれるぞ。行こう。」
彼は衣緒の涙を指で拭うとそのまぶたに軽く口づけて震える手を優しく包み込んだ。