みずあめびより
数日後、商品企画部夏の終わりの恒例行事であるビアガーデンでの飲み会があった。

その席の冒頭で鈴太郎と衣緒が前に出て結婚を報告した。

「てゆーか、つきあってんのとっくに気づいてたけどね。仕事中よく見つめあってるし。」

今城が暑苦しそうに言う。

「朝もいつも一緒に来てるしなー。会社の近くの公園で彩木さんが車降りて時間差で出社してるけど、近過ぎてばれてて意味ねーし。しかもまたすぐ会うのに別れる時寂しそーな顔してさ。」

北岡も今城の方をちらっと見ながら羨ましそうに言う。

「お昼休みに同じ手作りおにぎりやサンドイッチ食べてたりしますしね!まあ、あたしは彩木さんからお二人のこと教えてもらってたんですけど。」

玉川は目をキラキラさせて言う。

「あたしも立場上知ってたけど、二人、シャンプーか洗剤か知らないけど、同じ香りするしね。」

泉までも嬉しそうにニヤニヤしながら言う。

「え?何?じゃ、もしかして知らなかったのって俺だけぇ?」

右手に串カツ、左手に焼き鳥を持った真中がわなわなとなる。

「食いもんのことばっかり考えてるからですよ。」

新貝は既にだいぶ酒が回っていて、八つ当たりのように言い捨てる。

「そんなこと!・・・あるけどさぁ・・・。」

真中はシュンとしつつ、両手の串に交互にかぶりつく。
< 249 / 253 >

この作品をシェア

pagetop