みずあめびより
「俺がシャワー浴びたら、朝飯(あさめし)食べに行かないか?1階にオーナーご夫妻がやっているベーカリーカフェがあるんだ。その後そのまま帰るなら駅まで送るし・・・ここに戻るなら荷物置いていったらいいよ。」

最後の一言は迷った結果付け加えた。

───俺は正直もっと一緒にいられたらいいなと思ってる・・・。二人でいると心がざわつくのに何故か居心地がいいんだ。でも、彼女にとって俺は上司だから気を遣って疲れているかも。昨日俺が寝たふりしてる時、「楽しい」って言ってくれてはいたけど・・・。

「・・・。」

───また、ここに・・・戻って来たいけど、もうこれ以上お邪魔するわけには・・・。これ以上私に時間使ってもらうのは申し訳ないし、それに、一緒にいればいるほど気持ちがどんどん・・・。私はもう恋愛は・・・。

「ありがとうございます。カフェの後、失礼しますね。」

「わかった。ちょっと待ってて。」

鈴太郎は10分ほどでシャワー、スキンケア、へアセットから着替えまで済ませて戻ってきた。

衣緒は仕事が早い人は身仕度も早いんだなと思い、同時になかなか戻らない自分を心配してくれたのも納得ができた。

「行こうか。」

「はい。」

リュックを背負って彼に続いた。名残惜しくて最後に部屋を見回した。

明るい陽射しが照らす鈴太郎の部屋は昨日の幻想的な雰囲気とも違い、よりナチュラルで楽しげな雰囲気で、そんなところも自分の部屋と似ていた。
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