みずあめびより
食器とトレーを返却口に返すと庭に出た。
時刻は8時半になるところだった。空は雲ひとつなく、暑さはまだ本気を出していない。
「素敵なイングリッシュガーデンですね。」
衣緒はうっとりとして言った。
色やサイズが統一されていない様々な花々、奥に行くに従って高い植物が植えられたボーダーガーデン、テラコッタや陶器の鉢、木製のベンチなど、ナチュラルな魅力が溢れていた。
「うん。季節によって色々な花が咲いていて、いつ来てもいいんだよ。」
「日本とイギリスのガーデニングに対する考え方は似てるって本で読んだことあります。どちらも植物の自然の美しさを大切にするそうです。」
「いいな。会社の屋上もなかなかいいんだけど。」
「そうですよね。」
屋上で見た彼の姿を思い出した。もっと知りたいと思っていた彼が、今はこんなにも近くにいて、時間を共有している。
風が吹いて花や緑たちと共に二人の気持ちもさわさわと揺れた。
風で舞い上がった花びらが鈴太郎の髪に降りたった。
「髪に花びら、ついてます。」
「ん?」
彼は髪を撫でた。
「そこじゃなくて・・・私とります。」
近寄って背伸びをしてとろうとしてよろけてしまった。
とっさに鈴太郎が彼女の体を支える。衣緒が顔を上げると視線がぶつかった。
時刻は8時半になるところだった。空は雲ひとつなく、暑さはまだ本気を出していない。
「素敵なイングリッシュガーデンですね。」
衣緒はうっとりとして言った。
色やサイズが統一されていない様々な花々、奥に行くに従って高い植物が植えられたボーダーガーデン、テラコッタや陶器の鉢、木製のベンチなど、ナチュラルな魅力が溢れていた。
「うん。季節によって色々な花が咲いていて、いつ来てもいいんだよ。」
「日本とイギリスのガーデニングに対する考え方は似てるって本で読んだことあります。どちらも植物の自然の美しさを大切にするそうです。」
「いいな。会社の屋上もなかなかいいんだけど。」
「そうですよね。」
屋上で見た彼の姿を思い出した。もっと知りたいと思っていた彼が、今はこんなにも近くにいて、時間を共有している。
風が吹いて花や緑たちと共に二人の気持ちもさわさわと揺れた。
風で舞い上がった花びらが鈴太郎の髪に降りたった。
「髪に花びら、ついてます。」
「ん?」
彼は髪を撫でた。
「そこじゃなくて・・・私とります。」
近寄って背伸びをしてとろうとしてよろけてしまった。
とっさに鈴太郎が彼女の体を支える。衣緒が顔を上げると視線がぶつかった。