みずあめびより
月曜日はいつものように時間が過ぎていった。
社員達はミーティングや外出で出払っていて、雑貨チームで席にいるのは鈴太郎と衣緒、彼女の向かいの席に座る派遣社員の玉川璃子だけだった。
玉川が席を立つと、衣緒は書類を持って鈴太郎の席にやって来た。
「印鑑、お願いします。」
「ん、今押しちゃうから待ってて。」
彼は書類に軽く目を通すと、承認欄に印を押して彼女に差し出す。
「はい。よろしく。」
「ありがとうございます。・・・あと、先日はありがとうございました・・・。」
ドキドキして小さな声になってしまう。
「・・・いや・・・。」
意識しないようにしていたのに、一緒に過ごした時間を思い出すと二人の周りの空気がにわかに色づいた。
「・・・これ、たいしたものじゃないんですけど、・・・その、いらなかったら捨ててください。」
衣緒は俯いたままそう言いラッピングされた包みを彼のデスクに素早く置くと、小走りで自席に戻り、デスクの引き出しから資料を取り出しめくり始めた。
鈴太郎は驚いてしばらく衣緒を見つめていたが、彼女から包みに目を移しそれに手を伸ばした時、社員の北岡悠馬が外出から戻ってきた。
「お疲れ様です。」
衣緒が声をかける。
「あ~、暑ち~。葉吉さん、工場の方、順調でした。これ、サンプルです。」
北岡は鈴太郎に新商品のサンプルを渡す。
「お疲れ、ありがと。」
「葉吉さん、ちょっといい?」
マネージャーの泉に呼ばれた。
「はい。」
鈴太郎は包みを鞄にしまうとミーティングルームに向かった。
社員達はミーティングや外出で出払っていて、雑貨チームで席にいるのは鈴太郎と衣緒、彼女の向かいの席に座る派遣社員の玉川璃子だけだった。
玉川が席を立つと、衣緒は書類を持って鈴太郎の席にやって来た。
「印鑑、お願いします。」
「ん、今押しちゃうから待ってて。」
彼は書類に軽く目を通すと、承認欄に印を押して彼女に差し出す。
「はい。よろしく。」
「ありがとうございます。・・・あと、先日はありがとうございました・・・。」
ドキドキして小さな声になってしまう。
「・・・いや・・・。」
意識しないようにしていたのに、一緒に過ごした時間を思い出すと二人の周りの空気がにわかに色づいた。
「・・・これ、たいしたものじゃないんですけど、・・・その、いらなかったら捨ててください。」
衣緒は俯いたままそう言いラッピングされた包みを彼のデスクに素早く置くと、小走りで自席に戻り、デスクの引き出しから資料を取り出しめくり始めた。
鈴太郎は驚いてしばらく衣緒を見つめていたが、彼女から包みに目を移しそれに手を伸ばした時、社員の北岡悠馬が外出から戻ってきた。
「お疲れ様です。」
衣緒が声をかける。
「あ~、暑ち~。葉吉さん、工場の方、順調でした。これ、サンプルです。」
北岡は鈴太郎に新商品のサンプルを渡す。
「お疲れ、ありがと。」
「葉吉さん、ちょっといい?」
マネージャーの泉に呼ばれた。
「はい。」
鈴太郎は包みを鞄にしまうとミーティングルームに向かった。