みずあめびより
彼女はキッと目に力を入れて見つめてきた。鈴太郎はその真っ直ぐな瞳にキュンときてしまった。
「・・・わかった。迷路の中を探してみよう。」
閉園が近づき迷路にはほとんど人がいなかった。
「ええと、ここはこっちの扉をくぐったんですよね。」
「そう、真中が『狭いなー。』とか言ってた気がするよ。」
小さな扉をくぐると細い平均台のようなものがある。
「わっ、」
落ちそうになる衣緒を隣の台を渡っていた鈴太郎が支える。
「・・・大丈夫?」
「すみません・・・。体育、限りなく1に近い2だったから、レポートでAプラスとって、なんとか進級したんです・・・。さっきは奇跡的に落ちなかったんですけど。」
「はは。そっか。」
───彼女は本当に学生時代からこんな感じなんだろうな。もっと早く出会えたらよかったのにな。歳は違うけど。
学生時代の彼女のことを知ることができ嬉しく思ったが、新貝とのことを思い出すと途端に切なくなった。
しばらく進むと分かれ道に来た。
「ここでこっちの、奥に塔がある方の道に進んで、行き止まりだったんですよね。」
「・・・そうだな。じゃあ、そっちじゃなくてこっちの、戻ってから進んだ方の道を探そう。」
───塔の方はあんまり行きたくないし。
「いえ、通った道は全部探しましょう。こっちにあるかもしれないですし。」
またあの強い眼差しを見せたかと思うと彼女は塔に向かって歩き出した。
「・・・。」
仕方なく後を追う。
すると前を歩く彼女が段々早足になった。ほぼダッシュ状態になり塔の入り口まで着くとしゃがみ込んだ。
「ありました!」
振り返ると、立ち上がって走ってくる。
鈴太郎の前まで来ると、満面の笑みでキーホルダーを手渡す。
「はあはあ、よかったー。」
「・・・。」
思わずキーホルダーを持つその手を握りしめた。
「!?」
「・・・ちょっと来て。」
手をひいて塔の中まで進む。
「・・・わかった。迷路の中を探してみよう。」
閉園が近づき迷路にはほとんど人がいなかった。
「ええと、ここはこっちの扉をくぐったんですよね。」
「そう、真中が『狭いなー。』とか言ってた気がするよ。」
小さな扉をくぐると細い平均台のようなものがある。
「わっ、」
落ちそうになる衣緒を隣の台を渡っていた鈴太郎が支える。
「・・・大丈夫?」
「すみません・・・。体育、限りなく1に近い2だったから、レポートでAプラスとって、なんとか進級したんです・・・。さっきは奇跡的に落ちなかったんですけど。」
「はは。そっか。」
───彼女は本当に学生時代からこんな感じなんだろうな。もっと早く出会えたらよかったのにな。歳は違うけど。
学生時代の彼女のことを知ることができ嬉しく思ったが、新貝とのことを思い出すと途端に切なくなった。
しばらく進むと分かれ道に来た。
「ここでこっちの、奥に塔がある方の道に進んで、行き止まりだったんですよね。」
「・・・そうだな。じゃあ、そっちじゃなくてこっちの、戻ってから進んだ方の道を探そう。」
───塔の方はあんまり行きたくないし。
「いえ、通った道は全部探しましょう。こっちにあるかもしれないですし。」
またあの強い眼差しを見せたかと思うと彼女は塔に向かって歩き出した。
「・・・。」
仕方なく後を追う。
すると前を歩く彼女が段々早足になった。ほぼダッシュ状態になり塔の入り口まで着くとしゃがみ込んだ。
「ありました!」
振り返ると、立ち上がって走ってくる。
鈴太郎の前まで来ると、満面の笑みでキーホルダーを手渡す。
「はあはあ、よかったー。」
「・・・。」
思わずキーホルダーを持つその手を握りしめた。
「!?」
「・・・ちょっと来て。」
手をひいて塔の中まで進む。