みずあめびより
「・・・葉吉さん?」
───キーホルダー、これだよね?なんか部品が足りなかったかな?
塔の中は先程よりも暗くなっていた。彼は一番奥まで進むと手を繋いだまま振り返った。
「・・・ここでさっき、新貝と・・・。」
───聞きたくないけど、聞きたい。二人の間にどんなやりとりがあったのか。
「葉吉さんもお気づきだったんですね。新貝さん、大丈夫でしょうか?駅でもぼうっとしてたし。玉川さんと途中まで一緒みたいだから、一人じゃないし大丈夫かなと思ったんですけど。」
「ん?」
───俺の想像の斜め上をいく予感・・・。
「急に壁に手をついてこちらに倒れ込んで来たんです。とっさに背中さするしかできなくて。あと、胃薬とか鎮痛剤とか飲み過ぎた時用のウコンとか持ってるので、飲みますか?って聞いてみたんですけど、首を横に振られるだけで・・・。」
「・・・。」
「私、お酒飲まないのでウコンが効くのかはわからないんですけど・・・。多分新貝さん、真中さんや玉川さんには気づかれたくなかったんでしょうね、具合悪いこと。お二人、とても盛り上がってらっしゃったから、盛り下げちゃうと思ったのかと。あの時ちょうどお二人がUターンしたから、私に言ったのだと思います。」
「・・・あのさ。」
「はい。」
「彩木さん、勘違いしてるよ。」
───ホッとしたけど、新貝が哀れにも思える。
「ウコンじゃない方がよかったでしょうか?あ、しじみ!?」
「・・・そうじゃなくて、新貝は体調が悪かった訳じゃなくて・・・。」
───キーホルダー、これだよね?なんか部品が足りなかったかな?
塔の中は先程よりも暗くなっていた。彼は一番奥まで進むと手を繋いだまま振り返った。
「・・・ここでさっき、新貝と・・・。」
───聞きたくないけど、聞きたい。二人の間にどんなやりとりがあったのか。
「葉吉さんもお気づきだったんですね。新貝さん、大丈夫でしょうか?駅でもぼうっとしてたし。玉川さんと途中まで一緒みたいだから、一人じゃないし大丈夫かなと思ったんですけど。」
「ん?」
───俺の想像の斜め上をいく予感・・・。
「急に壁に手をついてこちらに倒れ込んで来たんです。とっさに背中さするしかできなくて。あと、胃薬とか鎮痛剤とか飲み過ぎた時用のウコンとか持ってるので、飲みますか?って聞いてみたんですけど、首を横に振られるだけで・・・。」
「・・・。」
「私、お酒飲まないのでウコンが効くのかはわからないんですけど・・・。多分新貝さん、真中さんや玉川さんには気づかれたくなかったんでしょうね、具合悪いこと。お二人、とても盛り上がってらっしゃったから、盛り下げちゃうと思ったのかと。あの時ちょうどお二人がUターンしたから、私に言ったのだと思います。」
「・・・あのさ。」
「はい。」
「彩木さん、勘違いしてるよ。」
───ホッとしたけど、新貝が哀れにも思える。
「ウコンじゃない方がよかったでしょうか?あ、しじみ!?」
「・・・そうじゃなくて、新貝は体調が悪かった訳じゃなくて・・・。」