みずあめびより
一方、外見には特別個性的なところはなく、ごく普通のアラサー女性という感じだった。

細身で身長は平均的な女性より少し低いだろうか。黒に近いダークブラウンの髪でストレートのセミロング。

メイクは派手すぎず地味すぎずしていたし、服装もフェミニン寄りのオフィスカジュアルだった。細身のパンツにフワッとしたチュニック丈のトップスか、軽やかな素材のミモレ丈のスカートにコンパクトなトップスを着ている印象だ。

目が大きいわけではないが黒目がちで小動物のようなかわいらしい顔つきだったが、声は高くなく、話し方も落ち着いていた。


彼女は仕事はマイペースではあるが、真面目でしっかりしていて面倒見がいい、と皆は言う。

確かにそうではあるが、
一人で頑張り過ぎて空回っていたり、自分を強くみせようとしていても、強くなりきれていなかった。

さっきも雨に動じずに歩いているようで、まるで今にも泣きそうに見えた。一人でいるのに、自分自身にまで強がっているようだった。

俺はそんな彼女をもっと知りたい、素顔の彼女をもっと見たいと思っていた。

そう、正直に言ってしまうと・・・

俺は彼女が気になっていた。
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