みずあめびより
火曜日の昼休み、衣緒は図書館に併設されたラウンジで食事をとると自習スペースに向かった。

しかし、デスク付きの席は勉強をしている人や新聞を読んでいる人で埋まっていた。自分と同じ会社員らしい人が多い。皆考えることは同じだ。

何人かで座れる長方形のソファにはいくつか空きがあったので、検索機で目当ての本を探して取りに行くことにした。

検索機で印刷したレシートのような紙に書かれた番号がついた棚は、一番奥の列の本棚の突き当たりにあった。

この辺りに並べられているのは少々マニアックな分野の本なのか、周りに人がいなかったのでゆっくり探すことにした。

見つからないな、と思っていたら一番上の棚にある。
背伸びするが届かない。

───そう言えばさっき階段式の踏み台があったな。取りに行こ・・・。

「これですか?」

いつの間にか隣に人がいたらしく本をとってくれた。

「・・・あ、ありがとうござ・・・!?!?!?」

お礼を言う為見上げると新貝だった。
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