みずあめびより
二人はその後近くの自動販売機で飲み物を買うと、焼鳥、たこ焼き、チョコバナナ、大判焼、じゃがバターなどを分けあいながら食べた。

「お腹いっぱいです。」

「・・・そろそろ帰ろうか。明日も仕事だし。」

「・・・はい。」

「・・・少し、川沿い歩かない?」

帰るのが残念と思っていた衣緒の心は鈴太郎のその言葉に思いきり跳ねた。

「は、はい!」


神社の横の道を進むと川沿いに出た。

向こう岸にはビジネルビルが並んでいる。

「昼間は暑いけど、夜になると涼しい。もう秋なんですね。」

「寒い?」

「いえ、風気持ちいいです。」

「・・・。」

「・・・。」

二人共無言のまま、川やビルの光を見ながら歩く。

「少しだけ座らない?」

「はい。」

川に向かっているベンチに並んで座る。

「・・・。」

「・・・。」

風の音や車が走る音が聞こえる。

「あのさ・・・。」

鈴太郎は目線を川から衣緒に向けて(おごそ)かに口を開いた。
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