みずあめびより
「・・・あの・・・。」
このまま見つめあっていたら、ドキドキが許容量を超えてベンチから崩れ落ちてしまいそうで、失礼とは思いつつ俯いてしまう。
「いいよ。すぐに返事しなくて。」
重ねた手を離してポンと頭に乗せてくる。
「帰ろうか。」
「はい・・・。」
川沿いを歩いて駅の方向に向かうと、ベンチでお祭り帰りと思われる甚平と浴衣の派手目なカップルが抱き合っていた。思わず目がいってしまう。
「・・・。」
「・・・。」
───おいおい、気まずいな・・・。俺だってさっき本当は手じゃなくて抱きしめながら言いたかったけど、さすがに場所が場所だから出来なかったよ。迷路でのこともあるし。会社も近いし。
すると、カップルの彼氏の方が近づいてきた。
「すいませーん。」
「「!」」
「写真撮ってもらえませんか?今日甚平でカバン持ってねーから、自撮り棒忘れちゃったんすよ。」
「いいですよ。」
鈴太郎が彼氏が差し出したスマホを受け取る。
「あざーす!後ろのビルも入れてもらえますか?都会っぽい感じで!」
「ちょっと待ってぇ。ちゃんと美肌アプリにした?」
ベンチに座る彼女は小さな鏡を見てササッと前髪を直す。
「したした!」
彼氏はベンチに戻ると彼女に顔を寄せる。
「行きますよ。3、2、1。」
「すいません。もう何枚かお願いしゃす!」
撮影が終わってスマホを返すと二人は写真の出来をチェックする。
「おー!これ盛れてるじゃん!」
「いいんじゃない?これアップしよ!」
「マジありがとうございました。お二人の写真も撮りますよ!」
彼女が素早くフリック入力をしSNSに写真を投稿し始めると、彼氏がこちらに近づいてくる。
このまま見つめあっていたら、ドキドキが許容量を超えてベンチから崩れ落ちてしまいそうで、失礼とは思いつつ俯いてしまう。
「いいよ。すぐに返事しなくて。」
重ねた手を離してポンと頭に乗せてくる。
「帰ろうか。」
「はい・・・。」
川沿いを歩いて駅の方向に向かうと、ベンチでお祭り帰りと思われる甚平と浴衣の派手目なカップルが抱き合っていた。思わず目がいってしまう。
「・・・。」
「・・・。」
───おいおい、気まずいな・・・。俺だってさっき本当は手じゃなくて抱きしめながら言いたかったけど、さすがに場所が場所だから出来なかったよ。迷路でのこともあるし。会社も近いし。
すると、カップルの彼氏の方が近づいてきた。
「すいませーん。」
「「!」」
「写真撮ってもらえませんか?今日甚平でカバン持ってねーから、自撮り棒忘れちゃったんすよ。」
「いいですよ。」
鈴太郎が彼氏が差し出したスマホを受け取る。
「あざーす!後ろのビルも入れてもらえますか?都会っぽい感じで!」
「ちょっと待ってぇ。ちゃんと美肌アプリにした?」
ベンチに座る彼女は小さな鏡を見てササッと前髪を直す。
「したした!」
彼氏はベンチに戻ると彼女に顔を寄せる。
「行きますよ。3、2、1。」
「すいません。もう何枚かお願いしゃす!」
撮影が終わってスマホを返すと二人は写真の出来をチェックする。
「おー!これ盛れてるじゃん!」
「いいんじゃない?これアップしよ!」
「マジありがとうございました。お二人の写真も撮りますよ!」
彼女が素早くフリック入力をしSNSに写真を投稿し始めると、彼氏がこちらに近づいてくる。