みずあめびより
会議室を出て席に戻りマグカップをとるとハーブティーを入れるため休憩室に向かう。午後の仕事が始まったばかりだったが、元々ざわついていた心がさらに騒ぐようになり落ち着きたかった。

ティーパックを入れお湯を注いで席に戻ろうとすると、今城が休憩室に入ってきた。

「お疲れ様です。」

「お疲れ様。ね、彩木さん来週北岡の代わりに出張行くんでしょ?」

「あ、はい。今聞きました。」

「いいな。あの展示会楽しいよ。いろんな雑貨があって。私も面倒な仕事よりもそっちに行きたいよ。クライアントが超ワガママでさ。そんな少ない予算で出来るわけないっつーの!」

「大変ですね・・・。」

「で、あっち方面に出張行く時、うちと取引のある会社がやってるホテルに泊まるんだけど、そこがすごくいいんだ。プライベートで泊まりたいくらい。ちょっと高いけど。展示会の会場からは遠くて面倒ではあるんだけど。」

「そうなんですね。」

「でも、葉吉さんと二人なのは疲れそうだね。超仕事できるし、いい上司なんだけど、やたら淡々と落ち着いててちょっと・・・ロボットみたいっていうか・・・何考えてるかわからなくない?」

眉をひそめながら言う。

「はは・・・。」

───お祭りの型抜きに熱くなってましたよ・・・とは言えない。

「気まずいだろうけど頑張って。あ、部にお土産買うようにお金渡されると思うんだけど、もし彩木さんに選択権あったら、買ってきてほしいのあるんだ。後でメールする。」

「わかりました。」

「ね、ヘアゴム持ってない?これから外出なんだけど、さっきお昼で外出たらめちゃくちゃ暑かったし!」

今城はゆるいパーマがかかったロングヘアを持ち上げながら言う。

「ありますよ。持ってきますね。」

「ありがと。いつもごめんね~。」
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