今日もキミに甘え放題
「彩葉、いつも朝に雨降ってないと傘持っていこうとしねぇだろ。俺がいたら言えるけど、最近は先に行ってばかりだからな」
「うっ……」
もしかして悠くんは、私が傘を持っていないことを見越して駅前で待ってくれていた?
「ほら、この傘使え」
「悠くん……ありがとう」
一方的に避けていたというのに、なにも言わず手に持っていた傘を渡される。
それをさして悠くんと並びながら家へと帰った。
けれどお互い話すことはなかった。
雨音を言い訳にして、私は悠くんになかなか謝れないでいた。
「じゃあな、傘はまた今度返してくれたらいいから」
「え、あっ……」
家の前に着くと、悠くんはそれだけ言って自分の家へと戻ろうとしてしまう。
今日がチャンスなのだと思った私は、慌てて悠くんを呼び止めた。