今日もキミに甘え放題
「渡辺さんと話していると癒されるんだよね。
心地いいっていうか」
「えっ、と……」
あまりに突然のことに戸惑っていると、周りから小さな話し声が聞こえてきた。
「見て、岸田くんが……」
「うそー、今度はあの子狙い?ぜんぜんタイプ違う」
思わずビクッと肩が跳ねる。
先輩らしき人たちが私たちに注目しているのだ。
それは岸田くんがかっこよくて、学校中に名が知れ渡っていて。
そんな彼と比べられ、変に目立ってしまうのだ。
もし『調子に乗るな』と思われたらどうしよう。
そう考えると、指先が震えてきて。
またあの日がやって来るなんてぜったいに嫌だ。