今日もキミに甘え放題

「じゃあね、悠くん。
また学校で」

「……ああ」


つながれた手は離れ、互いに背を向ける形で移動した。

私たちはわざと違う車両に乗る。
電車に乗った時点で私たちは“クラスメイト”へと変わるのだ。



少し寂しさもあるけれど、私が求めた条件である。



すでに人が多い電車に乗り込み、揺られること30分。
ようやく学校の最寄駅に到着した。

その駅に降りる人たちはほとんど学校の生徒。
ついつい悠くんの姿を探してしまいそうになる中、我慢して改札へと向かう。


「あっ、彩葉！」


その時、誰かに名前を呼ばれた。

パッと振り返ると、そこには1年の時から同じクラスで友達の村本由良(むらもとゆら)ちゃんが立っていた。