今日もキミに甘え放題



「あの、もしかしてみんな……」

「ああ。わざと先輩たちをおびき寄せた。
釘も刺したし、もう大丈夫だ」

「……っ、みんな……」


隠せていると思っていたけれど、なんでもお見通しで。
こんな風に手を差し伸べてくれる。


思わず泣いてしまった。
ああ、私はあの頃のようにひとりじゃないんだって。

ひとりで我慢して、闘う必要がないんだと。


「あーあ、渡辺さんは俺といい感じになる予定だったのにな」

「まだそれ言ってるのか?いい加減諦めたらどうだ?相思相愛のふたりに入る隙なんてないだろうから」

「わかってるけど……まあいいや、もし清水が渡辺さんを傷つけたときは俺が奪おう」

「そんなことしねぇよ。
誰が岸田に彩葉を渡すか」


少し離れた場所で、悠くんと岸田くんが言い合いを始めてしまうけれど。

その間もずっと、私の心はポカポカと温かかった。

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