今日もキミに甘え放題
理由を聞いたとしても、話したくないかもしれない。
そのため私は口を閉じて、悠くんのとなりでおとなしくする。
「なあ彩葉」
「は、はい……!」
しばらく沈黙が流れていると、ようやく悠くんが口を開いたため、すぐに食いついてしまう。
「お前、物落としすぎ」
「え……?」
悠くんが私のことを“お前”と呼ぶことは滅多にない。
つまり相当お怒りである。
「物……?」
「不注意なんだよ。
朝だってストラップ落としてただろ」
「あ、うん……!本当になくしちゃったかと思ってて……でも岸田くんが拾ってくれてたの」
もし岸田くんが拾ってくれていなかったら、どうなっていたかわからない。
そのため岸田くんには感謝しかない。