今日もキミに甘え放題



「もー、泣こうとしないの」
「だ、だって……」

「悠二くんのためにも少し考えたほうがいいと思うかな。だって彩葉、まったく彼の気持ちにも気づいてないからね」


お母さんが困ったように笑う。
私が泣きそうになっているせいで困らせているのだ。

じゃあ悠くんも?
悠くんも私のせいで困らせている……?


「彩葉」
「……っ」


そのとき、悠くんが私の名前を呼んだ。
いつのまにか私のそばまでやってきたのだ。

慌てて今の顔がバレないように背ける。


「彩葉、どうしたんですか?」

けれど悠くんは異変に気づき、お母さんにそう尋ねた。
このままではバレてしまう。


「わ、私はどうもしてないよ……!」


そのためお母さんが答える前に自分で答え、立ち上がる。

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