今日もキミに甘え放題



「なんでいるのに返事しねぇんだよ」

その声の主は悠くんだった。
思わず起き上がりそうになるけれど、グッと我慢する。


「も、もうすぐ寝ようと思って……」
「うそつけ。今日は俺がいるって喜んでたくせに」

「うっ……」


私のうそもかんたんに見抜いてしまう悠くんに敵いそうにない。


「それで?いいのか、もう寝て」
「だ、だって……」

ふとベッドのそばに人影を感じた。
恐らく悠くんが近くにやってきたのだ。

諦めて彼を見ると、ひどく優しい眼差しを私に向けていた。


たったそれだけで泣いてしまう私。
やっぱり悠くんと離れるなんて無理だ。


「ほら、泣くなよ」
「悠くんは私が迷惑……?」

「……そんなこと、いつ俺が言った?」


私の涙を拭いながら、優しい声で尋ねてきた。
一度も言われたことはないため、首を横に振る。

< 63 / 280 >

この作品をシェア

pagetop