最後の夜
「愛、もう十分だよ」

師範にそう言われたとき、私は完璧に崩壊した。

骨折は、全治6ヶ月…苦虫を噛む思いで譲り渡した大将の座…なのに、全国大会は一回戦敗退。

大将戦に勝てば、次の試合へ進めたそうだった。

私だったら。

予定通りに、私が大将だったら負けはしなかったのに。

怪我が治ってから、死に物狂いでリハビリに取り組んだけれど、剣道を続ける事は無理だと言われた。

それからだ。

毎日男を変えて、酒を飲み煙草を吸って。

喧嘩も毎日、無免許運転なんか上等の上等。

大して好きでもない男と一緒にいて、私は何が楽しい?

酒、煙草、喧嘩。

自分の体をかき壊していった。

「秀明、私帰るわ」
「は!?おい待てよ!」
「また連絡する」
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