最後の夜
雪を踏み締めながら、白い歩道を歩いていく。

秀明とはかなり長い付き合いになってきていたけど、別に好きでもなくて、ただ居るだけに近かった。

「あ-あ」

何気なく呟いた。

本気で好きになれる人の一人でもいれば…そんな考えが頭を過ぎる。

本当にそんな事を思う。

自分自身、行き場がなかったんだ。

そんな時に目に入ったのがレゲエパーティーの文字。

もう時刻は午後7時、辺りは真っ暗で店のネオンがやたら暖かく思えて、店に近寄っていった。

レゲエは大好き。

どうせ暇なんだ、寄って行こう…そんな軽い気持ちで中に入っていきチケットを買った。

狭いフロアに人がひしめきあっている。

私はフロアの一番奥にあったカウンターで酒を買い、そのままそこに寄り掛かる。
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