最後の夜
あの笑顔は私だけのものだと思っていた。

『愛とやり直したい』

一昨日電話をかけてきて、そう言ってくれたばかりだったのに。

なのに、この落ち。

意味が分からない。

「もうヤダ」

繁華街の道端で声を上げて泣き叫ぶ私は、世間にどう思われていようと今は知ったこっちゃ無かった。

泣きたいんだから仕方ない。

「愛?」

若い男が声をかけてきた。

「うるさい!」

男って言うのがムカついて、自分の鞄をぶつけた。

「何すんだよ!愛!俺!創祐!」

聞き覚えのある声に顔をあげると、見違えるほどに大人びた男友達が立っていた。
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