最後の夜
「財布も化粧品もぶちまけちゃってますけど。」

そう言って私の荷物を拾ってくれている創祐は、小学校からの男友達で、幼なじみでもある。

「ほら。拾ってやったぞ!感謝しろ、馬鹿愛」

見た目は変わっても、上から目線は変わってない。

かれこれ5年は会っていない。

「うるさい…」

また涙が出てきた。

「泣いてんじゃねえよ。ほら、立て」

創祐に肩を貸してもらっても、私は立ち上がれずにその場にへたりこむ。

「…っとに…」

創祐のそんな舌打ちと、ふっと体が浮いた感覚を最後に意識が途絶える。

私は本当に死んだのか?

もうどうでも良かった。
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