最後の夜
「お前を抱きたい訳ないだろ。」

寝ている筈の創祐と目が合った。

「小学校からの付き合いのお前とヤるぐらい俺、飢えてないし。」
「何?その自信」
「ってかお前覚えてないの?道端で死にかけてたの、助けてやったのにさ」

言われて気付いた。

確かに何にも覚えていない。

途中までは覚えている。

春樹の事で荒れて、ひたすら酒を飲み続けた。

そこまでで記憶が途切れている。

「…ありがとう」

小さな声で呟くと、創祐はにこりと笑った。

「俺、今ホストやってんだよね。客送りに通りに出たら、愛が泣きわめいて死にかけてた」

創祐がホスト?

はっきり言って心外。
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