キミとの世界は愛に満ちている
登校時刻には雨は止んで、少し雲りがかった空になっていた。

登校時刻をきっちり守って今日もひとり登校すると、親友の芹沢(せりざわ)夢奈が来た。

「おはよう、優美。今日はどんな本読んでるの?」

所謂(いわゆる)、ケータイ小説。悲恋もので、めっちゃ切ないやつ」

「へぇ、悲恋ものかぁ。この前まで溺愛もの読んでたのに、本当、優美っていっつも
色んな本読んでるよね」

そう、読書は私のもうひとつの趣味。私の自宅の自室の書棚にはびっしりと雑誌から単行本、文庫本までがずらりと並んでいる。

今日学校に持ってきたのはその極一部(ごくいちぶ)(選ぶ楽しみを味わいたいからいつも2冊はカバンに入れて来ている)。

「あたし、職員室行って課題出さなきゃだから、またあとでね!」

「うん」

夢奈は(あわ)ただし()に自分の席に戻ってカバンを持つとそのまま教室を出ていった。
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