陽点 心の中の太陽
「久美子、おかしいよ。もっと 篠田君に 厳しくしなよ。」
大学の友達は 私に 同情の目を向ける。
「えー。いいよ、別に。送ってもらったら 栄二が家に着くまで 心配だから。」
私が 笑顔で答えると みんな 驚いた顔をする。
「逆じゃん。普通 久美子が ちゃんと家に着くか 彼氏が心配するでしょう。」
と言って。
「私、1人で帰れるし。ていうか 帰り道くらい 1人で ゆっくりしたいし。」
私の言葉は 強がりではなく 本音だったけれど。
多分 誰も そう思っていなかった。
私は 栄二にとって 楽で 都合がいい女。
周りは 私を そう見ていたと思う。
” 帰り道くらい 1人になりたい ” と思うような相手と
結婚しては いけなかった。
そんな簡単なことに 私は 気付かなかった。