陽点 心の中の太陽
栄二は 自分の思い通りに なる時は
とても優しかった。
誰だって そうなのに。
誰だって 色々 我慢している。
そんなに 栄二の ご機嫌取りばかり できない。
会社でも 仕事が うまくいっていると
栄二は 上機嫌で 家でも 優しい。
でも 先輩や上司に 何か言われると
家で お酒を飲んで 暴れる。
初めて 栄二が アパートで 食卓を ひっくり返した時
私は 泣きながら 栄二のお義母さんに 電話をした。
「久美ちゃん。何とか 我慢して。栄二も きっと辛いのよ。」
妊娠中の私に 栄二のお義母さんは そう言った。
『私から 栄二に 強く言うから』
と言う言葉を 期待して 電話したのに。
栄二の親にも 頼れないことに 私は 気付く。
まだ 結婚して 1年も 経っていなかった。