陽点  心の中の太陽

栄二との生活で 一番の苦労は 

栄二の仕事が 安定しないことだった。


何度 転職しただろう。



最初の転職は 直哉を妊娠中。

美由紀が まだ1才で。


私は パートで働くことさえ できなかった。


新卒で入った会社を 栄二は 突然 辞めると言った。


「クミ。地元に戻ろう。俺の実家の近くなら 子育てだって 手伝ってもらえるし。なんなら 子供を お袋に預けて クミも 働けるだろう。」


就職して 3年目。私達には 貯金もなく。


まもなく生まれる 第2子の 出産費用さえ 不安な状態なのに。



「栄二が無理なら 仕方ないよね。仕事するのは 栄二だから。私は 栄二に任せるよ。」


この頃 頻繁に お酒を飲んで 物に当たっていた栄二。

妊娠中の私は ただ 穏やかに 暮らしたかった。



地元に戻れば。

合った仕事を見つければ。

両親の近くに行けば。

子供が 2人になれば。


 
” タラレバ " の期待は 無駄な賭け。




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